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埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院石上鍼灸院ブログ

中医学専門はり灸治療院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です。

◆睡眠についてA

2016年6月6日(月) 曇り

こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門石上鍼灸院です。

前回に続き、寝つきのタイプからお話しします。

・「何となく眠れない」タイプ
中医学では陰虚に多くみられます。
特に、腎陰虚や肝腎陰虚の虚熱が生じた際に多いようです。

前回お話ししたように、陽気(熱)が体の内側に入ることで眠りにつくことが出来ます。
陰虚により虚熱が体の外側に残り、熱が内側に入れなくてなかなか寝つけないというのがこのタイプになります。
虚熱は経絡(気などの通り道)とは無関係に移動してしまう厄介な熱なんです。

陰陽理解しにくいことが多いと思うので、もっと細かく説明していきますね。
まず、「陰」とは何かについて。
陰陽の概念は、当初自然界のすべての現象を陰と陽が相互に対立するように分類しました。
太陽と月、夏と冬、昼と夜などから、上と下、背外と内など人体にもあてはめられます。
ただ、ざっくり陰と陽に分かれるのではなく、春や秋があるように徐々に移り変わることは覚えておきましょう。
太極図が陰陽の移り変わりを現しているのは有名ですよね。
陰と陽
陰陽バランス一般的に陽は軽清、機能、亢進、運動、上昇、熱性の性質といった側面をもっています。
陰は重濁、形態、衰退、静止、下降、寒性の性質といった側面をもっています。
次に人体についての「陰」についてです。
通常、陰虚という時の「陰」は、陰液のことをいいます。
陰液とは、人体内に存在する栄養分のあるすべての水液(血、津液、腎精)のことです。

この陰液が不足した証候が陰虚証です。
代表的な症状は、手足のほてり、微熱、午後に熱があがる、口やのどの乾燥、寝汗、尿の色が濃い、舌の色が赤く、苔は少ないかないなどがみられます。

次は「腎」と「肝」についてです。
腎の臓は五臓の一つで、主な働きは精を貯蔵すること、成長発育、生殖、水液代謝です。
また、腎は骨、脳、髄、耳、膀胱と関係が深いので、腎の不調は上記の器官に症状があらわれます。
例えば、子どもでは骨が弱く、知能の発達が遅い。
大人では老化が速くなり、男性は精力が少なく、女性では無月経や不妊などの症状があらわれます。
このほか、耳鳴り、難聴、大小便の排泄異常などもみられます。
歯も骨なので、虫歯になりやすいなども関係し、歯ぐきの後退(やせる)のも腎気が落ちていることがあります。
また、恐れや驚きの精神状態とも関係しているので、今までは何ともなかったことでも、驚いたり怖がったりしやすくなります。


肝の臓も五臓の一つで、主な働きは血を貯蔵することと、気血をのびやかに流通させる働きです。
また、肝は筋肉の働き、爪、目、胆の腑と関係が深いので、肝の病変は上記器官にあらわれます。
精神状態では、肝は怒りという精神・情緒変化と密接に関係があります。
例えば、肝の気が鬱結すると怒りやすい、感情の抑うつ、ため息をつく、胸脇部の脹痛、月経不順などがみられます。
肝血が不足すると、めまい、物がぼやけて見えたり夜は物がよく見えない、筋肉の痺れやけいれん、筋肉がピクピクする、顔色に光沢がない、目が乾く、月経量の減少などがみられます。

肝は血に関係が深く、腎は精・津液に関係が深い臓です。
血も津液も陰に属します。
そのため、肝と腎は相互に影響しやすいんです。
そこで、もう少し、「肝腎同源」という関係についてお話します。

肝と腎の関係は、血と精の関係ともいえます。
腎中の精気の気化により、津液などとともに血が作られ、また血液の滋養によって清気が充盛になります。
お互いに助け合ってる関係なので、精血同源ともいいます。
病理上も常に影響し合っていて、もし腎精が虚損すれば肝血不足となります。
反対に肝血が不足すれば腎精虚損を引き起こします。

このように肝と腎は影響し合うので、肝腎陰虚という病証も比較的あらわれやすくなります。
肝腎陰虚とは、肝と腎の陰液が虚損して内熱が生じて出現する病証になります。
症状としては、めまい、目がくらむ、物忘れ、不眠、耳鳴り、口やのどの乾燥、脇痛、腰膝がだるい、手掌や足裏の熱感、寝汗、両頬の紅潮などがみられます。

腎陰虚も肝腎陰虚も、精神的な疲労、ストレスによって陰液を消耗してしまって症状が生じることが多いようです。
脳を活発に動かすエネルギー源は血なので、頭で色々と考えすぎてしまうと血の消耗が激しくなってしまうんです。
性格もあるので治すことは出来ない、という方も多いと思います。
私もそうなので。
でも、考え方を切り替えることはできます。
私はまだ起こっていないことを予想するあまり頭を使いすぎる傾向にあるので、「今考えても何も変わるわけではない」といった感じで、余計な血の消耗を控えるようにしています。

また話が長くなってしまったので、今日はここまでとします。
最後に、陰液を増やす食材を紹介しますね。

まず、腎陰を補う代表的な食材は、小松菜、アスパラガス、白きくらげ、牛乳、卵、烏骨鶏、鴨肉、豚肉、アワビ、ホタテ貝、カキです。
気血を補う代表的な食材は、ほうれん草、小松菜、キャベツ、いんげん、ぶどう、干ししいたけ、栗、落花生、蜂蜜、鶏肉、牛肉、イカ、タコ、米、山いも、じゃがいも、にんじんです。
熱が強いときは、熱を冷ましてくれる食材を摂るようにしましょう。
あわ、小麦、大麦、にがうり、きゅうり、トマト、じゅんさい、わかめ、シジミ、緑茶です。
もちろん、熱が強くなると症状があらわれやすくなるので、熱性の食材は控えめにしましょう。
ねぎ、生姜、にら、らっきょう、唐辛子、羊肉、鶏肉です。
鶏肉や牛肉は熱が強い方の食材なので、熱っぽいときは豚肉にしましょう。



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