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埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院石上鍼灸院ブログ

中医学専門はり灸治療院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆舌診A 舌苔の厚薄

2016年7月21日(木) 雨

こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門石上鍼灸院です。

前回に引き続き、舌の診方についてです。
正常に近い舌は、淡紅舌、薄白苔と前回お伝えしましたね。
写真で確認したい方は、「舌診@舌診とは」をご覧ください。
私はあえて、正常に近い舌と言って、正常な舌とはいいません。
それは、淡紅舌、薄白苔の状態が望ましいが、そうでなくても健康体になれると考えているからです。
淡紅舌、薄白苔は子供には比較的多く見られますが、大人になると、写真のような淡紅舌、薄白苔になる方は少なくなります。
一般的には、年を取ると舌質の赤みが増すようです。

舌を診ることで、体質や外邪が影響しているかなど診断の有力な情報を得ることができますが、淡紅舌、薄白苔にならないとつらい症状が改善しないかというと、そうではありません。
当院の患者さんで、暗紅舌のアトピーの患者さんがいました。
アトピーは寛解して、皮膚の状態もよくなりましたが、暗紅舌のままでした。
アトピーのような再発しやすい病気と考えると、患者さんの体質が熱をもちやすく、血の巡りも悪くなりやすいから舌の変化がなかったとも考えられますが。
また、私の知り合いのスポーツクラブのトレーナーですが、いつも元気で病気も全くしない20代の方の舌には、裂紋という溝がたくさんありました。
裂紋は血虚と診ることが多いのですが、その方に血虚の症状はみられませんでした。
裂紋は生まれつきの方も多いようです。
私の母は70代ですが、たまに肩こりをしますが、いたって健康で元気です。
舌の状態は、私の舌に似ていて、やや暗紅舌で、舌苔は薄白苔です。
親子で来院される患者さんを診させて頂くと、舌質が似ていることがあります。
舌質は遺伝の要素が高いように思います。
体質が遺伝することを考えれば、舌質も遺伝しても当たり前かもしれませんね。

舌質が淡紅舌であるに越したことはありませんが、今お話ししたように、そうでなくても問題ない場合もありますので、ご自分の舌を見るときは軽い気持ちで見る方がいいかと思います。
ただ、舌苔に関しては、徐々に薄白苔になっていった方が症状に改善がみられると感じています。
また、舌質に比べると、舌苔の方が変化しやすいんです。

そこで、今日は舌苔の厚薄について。

苔の厚さは、病変部位の深さ、病邪の軽重、病状の進退を推量することができます。
薄苔薄苔は、苔が薄くて苔を透かして舌体が見えるものをいいます。
右の写真は、苔がじっとり(膩苔)としていますが、舌体がみることが出来るので、薄苔になります。
薄苔は正常な場合にみられますが、他に病変が軽度のものだったり、邪気の勢いが強くなく正気が損傷を受けていない際にもみられます。
今後またお話しますが、全く苔がないのは体の状態としてはあまり良くありませんので、この薄苔を目安にしてください。

厚苔厚苔は、苔が厚くて舌体の色が全く見えないものをいいます。
邪気が裏に入ると苔が厚くなります。
邪気を押し返すことが出来ず、体の内側まで侵入されてしまった状態です。
カゼでいうと、さむけや軽い発熱はまだ外邪が表にいる状態ですが、それを追い払えないと、裏側に入ってしまいます。そうすると、食欲がなくなったり、下痢や便秘をしたりと内臓の症状があらわれます。
他に体に余分な水分が残っていたり、食べ過ぎで消化しきれない食べ物が胃に残っていたりしても苔が厚くなります。
常に苔が厚い方は、食生活を見直す必要があるかもしれませんね。

私の場合、カゼを引いたかなと思う時に舌を見てみると、いつもより苔が少し厚くなっています。
邪気が侵入してきているんですね。
ただ、この苔の変化はわずかなものです。
いつも舌の状態を確認していないと分からないかもしれません。
なので、皆さんも体調管理に舌診を利用するならご自分の舌を毎日確認してください。
私は、朝顔を洗ったときに確認しています。

今日はここまでにします。
まだ梅雨は明けませんが、体調管理に気をつけましょう。



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