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埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院石上鍼灸院ブログ

中医学専門はり灸治療院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆腎は骨を主る

2019年9月12日(木)

こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門石上鍼灸院です。

今日は黄帝内経に載っている『腎は骨を主る』についてです。

今回も「閃く経絡(医道の日本社:ダニエル・キーオン著)」から引用させていただき、現代医学の観点から解説していきます。
引用した文面は「 」で記載します。


「ビタミンDは、その産生に消化管、副甲状腺、皮膚、肝臓、腎臓が関わる複雑なホルモンである。」

「しかし、ビタミンDの変換の最後のポイントは腎臓である。そして、骨の健康で最も重要なホルモン、ビタミンD(カルシトリオール)の濃度について最終的な決定権を持つのは腎臓だ。ビタミンD欠乏症はくる病として知られ、骨の成長不良を引き起こす。腎臓は、ビタミンD代謝の最終段階を担うこのプロセスを制御する。しかし、骨形成における腎臓の役割はこれにとどまらない。腎臓は、骨の結晶を形成するカルシウムとリン代謝の維持に関与する。」

「古代の中医学が腎臓と骨という2つの臓器を密接につなげたことは驚嘆すべきことである。」

「中医学では、腎は「水」に関連する。これは腎が血液からの水を濾過しているため、連想しやすい。腎が弱いと、水は身体に蓄積する。」

「骨はこれと同じエネルギーによって制御されると考えられる。実際、骨は溶液から凝結する生きた結晶である。」

「身体にある骨芽細胞は、コラーゲン線維の中にカルシウムとリンを過度に飽和させることで結晶を生じさせる。これらの結晶が、骨にその硬さと非圧縮性を与える。骨と腎を関連づけ、骨を「水」から生まれる物質とする中国の概念に最初に直面したとき、私は当惑した。骨は硬く、水は柔らかいのだ! この関連は筋が通らないように思われた。しかし、時間とともに、この関連性は、非常に説得力を持つようになり、自明であるように思えてきた。」

「骨は密度の高い、乾燥して、死んでいるお墓の骨ではなく、生きた結晶として考えるべきである。この結晶はビタミンD、カルシウム、リン、コルチゾールの濃度により、溶液から結晶化したり溶解したりする。こららすべては「腎」で制御される。そして、この結晶(骨)は骨髄の中に魔法の物質(※)を含んで保護しており、そこから血液が補充される。骨と腎は同じエネルギーを共有している。腎が病気にかかるとき、それが骨の慢性的な弱体化を引き起こしたり、骨粗鬆症を予防する薬剤が腎不全を予防したりするのはそのためである。」
※魔法の物質=骨髄


腎臓には、ビタミンDやカルシウムやリンの代謝に関与しているので、骨の形成やもろさに影響しているということですね。

加齢とともに腎虚になると骨がもろくなる、という話は教科書の腎の機能の始めの方に載っている内容です。
臨床的には、骨がもろくなるほか、虫歯になりやすい、歯ぐきがさがる、などもみられます。


今回は、腎と骨の関係についてお話しました。
昔には分からなかった臓腑の機能が、現代医学の発展によって、経験から発展した中医学が証明されていくのは面白いですね。



中医学専門はり灸治療院
石上鍼灸院

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