本文へスキップ

埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院石上鍼灸院ブログ

中医学専門はり灸治療院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆ストレスからくる疾患② ストレスとその病態

2020年9月9日(水)

こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門針灸治療院の石上鍼灸院です。


ストレスからくる疾患に関しての第2弾です。
『中医臨床』を参考にさせて頂いています。


ストレスから生じる疾患とはどのようなものがあるでしょうか。
イメージしやすいものとしては、過敏性腸症候群や白衣性高血圧などがあげられると思います。
ところがこれらの機能性疾患だけでなく、関節リウマチ、糖尿病、慢性ウイルス性肝炎、悪性腫瘍などの器質的疾患も、精神状態との関連が指摘されていて、程度の差こそあれストレスが発症や経過に影響しています。
もちろん不眠症、うつ病などの精神疾患も何らかの形でストレスの影響を受けていることになります。


生物に対するストレスの研究は1936年のハンス・セリエの研究から始まりました。
彼は動物の急性ストレス反応として胃・十二指腸潰瘍、胸腺・リンパ組織の萎縮、副腎皮質の肥大という3つの兆候を見出し、ストレス状態が持続したときに生じる生体の抵抗性の経時的変化について、全身適応症候群(汎適応症候群)と呼びました。

またストレスを生じる刺激を「ストレッサー」、生じた反応を「ストレス反応」と定義しました。


中医学では、ストレッサーを外因(環境ストレッサー)、内因(心理・社会的ストレッサー)、不内外因(生活習慣)の3つに分類しています。
そのなかでも内因を重視し、内因が体調の変化や病気の発症の主な原因と考えています。
そこには、病気の原因は外部からの病因によるよりは、身体内部から発生するという基本的な考えがあり、それらによって発症する病気を内傷病ととらえています。
現代的に表現すれば、心理・社会的ストレスが病気の原因と考えているということです。


セリエ

全身適応症候群は大きく3つの時期に分けられます。
第1の時期は、「警告反応期」、第2は「抵抗期」、第3は「疲憊期」です。
さらに警告反応期はショック相と反ショック相に分けられます。

ショック相では、急激な刺激に対して血圧、体温、血糖値、筋緊張などの低下や胃潰瘍などがみられる。
反ショック相では逆に、血圧などは上昇しストレッサーに対する抵抗力が増加します。

次に抵抗期では、ストレッサーに対して一定の抵抗力を維持している時期となります。

ところが疲憊期では、生体はそれ以上の抵抗を示すことができなくなり、再び体温、血圧などは低下し、胸腺やリンパ組織は萎縮し、副腎皮質の働きも低下し、ついには死亡してしまいます。


この反応のメカニズムとしては、警告反応期では交感神経系の働きが、抵抗ではこれに加えて副腎皮質系の働きが重要な役割を果たしています。


これを中医学的に弁証してみると、警告反応期は、寒気やのどの痛み、ほてり、体が重だるいなどの病気の初期に相当します。
この状態は、肝火上炎(自律神経系の過亢進、中枢神経系の興奮)などに相当します。
また、抵抗期におけるアドレナリンの持続分泌による血液粘稠度の上昇は血お、抑うつ気分は肝気鬱結、食欲の低下は肝気横逆からの肝胃不和、糖質コルチコイドによる浮腫は痰飲の貯留と考えられます。
さらに疲憊期では腎虚となります。


本日はここまでとなります。
疲憊期になり腎虚となる前に、治療をする必要があるのが分かりますね。
血のめぐりが悪くなり、肩こりなど症状があるのは、もしかしたら身体がストレスに抵抗している時なのかもしれませんね。



中医学専門はり灸治療院
石上鍼灸院

〒332-0023
埼玉県川口市飯塚3-7-28
TEL: 048-446-9860
メールアドレス: info@ishigami89.com