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埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院石上鍼灸院ブログ

中医学専門はり灸治療院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆ストレスからくる疾患B 五神と行動決定

9月25日(金)

こんにちは、埼玉県川口市の中医学専門の石上鍼灸院です。


『ストレスからくる疾患』の第3弾です。
今回は、中医学で考えるストレッサーに対する反応、五神の考え方についてです。
『中医臨床』が参考文献になります。


中医学では、ストレッサーに対してよりも、ストレッサーによって生じる感情から生体機能に失調を生じるという点に注目しています。
これは、七情(喜、怒、憂、思、悲、驚、恐)の乱れという概念です。
また、「こころ」の構造について西洋では精神分析論や認知行動科学などがありますが、中医学は独特の考えをもっています。
それが五神です。


五神はこころの働きを5つに分類したもので、「神、魂、魄、意、志」があります。
『素問』では「五臓の蔵する所、心は神を蔵し、肺は魄を蔵し、肝は魂を蔵し、脾は意を蔵し、腎は志を蔵し、是れ曰五臓の蔵する所なり」とあります。
また、「肝は血を蔵し、血は魂を舎す。脾は営を蔵し、営は意を舎す。心は脈を蔵し、脈は神を舎す。肺は気を蔵し、気は魄を舎す。腎は精を蔵し、精は志を舎す。」ともあります。


@神
神の漢字は稲妻を表す「申」+祭壇からなる形声文字です。
つまり人智ではどうすることもできない自然の力を表現したものです。
「天地は万物を生じ、物有を主る者を神という」「陰陽測られざる、これを神という」とされています。
人間においては、精神活動の根本であり、根源的な性格を表します。


A魂
漢字は「雲」+鬼の会意文字です。
「神に随いて往来するもの、これを魂という」「心は陽中の陽で、魂は陽中の陰である」とあり、心に従属する形ではたらき、神よりも下位の精神活動と考えられています。
人間の行動決定のはたらきを行います。
また、夜になると魂は肝に帰りますが、これがうまく帰られないと夢を見るなど、睡眠と夢とも関係があります。


B魄
漢字はどくろを表す「白」+鬼の形声文字です。
「精と並びて出入りする者、之を魄と謂う」「魄の用を為すや、よく動きよく作り、痛痒は之に由りて覚ゆ」「人が生まれたときは、耳目・手足がはたらき、声を出して大声で泣く。これはすなわち魄の霊である」とあり、人間の本能行動や感覚入力のはたらきなど、「言葉にできないが、体でわかる」という作用をなします。


C意
漢字は音+心の会意文字です。
つまり、胸に衝動がつかえ、込み上げる気持ちを表します。
「意は触して働き、一も定まらず」とあるように、いろいろな希望・願望を表すとされています。
また一方、「心に憶う所有り、之を意と謂う」とあり、記憶に関連する作用もあります。


D志
漢字は足を表す「士」+心の形声文字です。
「意は既に決して、かつその意について立派に実現することのために立てられた決心を志という」「志は意より出て一に定まる也」とあり、集中した(決心された)こころを表します。



■行動決定のプロセス

人間の行動は極論すれば、筋肉の活動から成り立っています。
よって筋肉がどのような経緯で運動(緊張と弛緩)を決定されるかが重要となります。


はじめに外界から情報・刺激が入力されます(魄の作用)。

そしてこれをもとに、心が「〜でありたい、〜であるべきだ」と大雑把な行動願望を生じます(神の作用)。

そこで肝(魂の作用)と脾(意の作用)が協同し、行動立案を行います。

胆はその中から1つの行動を決定します(胆は中正の官、決断出ず)。

すると、腎に蔵される志が確立する。

その結果、どの筋肉にどのくらいの量の気血を分配するかが決定づけられます(肝胆の作用)

そして、その決定にもとづいて、筋肉に気血が注入され、運動(行動)が生じます。

さらにその行動により、新たな刺激や情報が入力されます。

人生はこの一連の作業の繰り返しであり、そのなかから神は学習し、少しずつ変化していきます(性格の変化、人間的成長)



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