本文へスキップ

埼玉県川口市の中医学に基づき施術を行う石上鍼灸院ブログ

中医学に基づき施術を行う針灸院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆中医学からみたがん③ がんの病機

2023年2月13日(月)

こんにちは、埼玉県川口市の中医学に基づき施術を行っている石上鍼灸院です。


中医学からみたがんの第3弾です。
がんの病機についてです。
病機とは、病気の発生から進行し、症状が変化していくメカニズムのことです。


①正気不足

がんの発生を阻止する力である「正気」にも2つの意味があります。
1つは発がん物質の侵入を阻止すること、あるいは侵入した発がん物質を体の代謝能力により解毒し、排泄することです。
もう1つは細胞のがん化を阻止すること、つまりがん抑制遺伝子としての役割です。


②気機鬱滞

気の運動のことを気機といいます。
気が正常に運行すれば、気の昇降出入も順調となり、体は健康で、がんも発生しません。
しかし、気の運行が滞ると、臓腑の気機も鬱滞します。
また、気滞により、津液の輸布が停止して痰となり、血行を推動できないためにお血となって、腫瘍ができてしまいます。

また、乳がんの発症に関しても、鬱怒が肝を傷つけ、憂鬱が脾の運化と肝脾の気機を失調させます。
その結果、痰湿が発生し、痰気が互結し、お血も加わって、腫瘍が発生すると考えられています。

がんの発生部位によって、気滞の症状も異なります。
胃がんでは胃脘部の膨満感・吐き気・嘔吐など、肺がんでは咳嗽・息切れ・胸痛、肝細胞がんでは脇痛などがみられます。


③お血内停

血は脈中を運行し全身を流れることによって生理機能を発揮します。
血の運行には多くの要素があり、多くの臓腑の働きによって支えられています。
血は陰に属し静を主る。
そのため、血の運行には推動する力が必要になります。
この動力は主に気の推動作用と温煦作用によるものです。
肝鬱気滞によるお血は臨床ではよくみられます。
また、陰邪の侵襲、陰寒の内生、痰湿の阻滞によって血脈が滞るとお血が出現し、腫瘤と疼痛がみられるようになります。


④痰湿凝聚

痰湿は、体内の水液代謝障害によって発生する病理産物です。
正気不足あるいは外邪の侵入により、脾胃の運化機能が阻害され、水湿内停から痰飲となります。
痰飲は病理産物でありながら、二次性の病的因子でもあります。
痰飲が胃腸に留まると、上腹部の膨満感・吐き気・嘔吐などがみられます。
肺に留まると、腫瘤・咳嗽・喀痰・胸水となります。
皮膚経絡に留まると、痰核・腫瘤などとなります。
痰湿は気の流れに従って、全身の至るところに移動するので、がんの転移や圧迫による症状などが出る可能性があります。


⑤熱毒内血

熱毒には外感熱毒と内生熱毒があります。
外感熱毒は感染症やタバコなどの環境素因によるもので、内生熱毒は陰陽気血の失調・ストレス・飲酒・不適切な飲食などによって化熱したものです。
熱毒は長くこもると、血が壅滞し、津液が焼灼されて痰となり、お血や痰濁と聚集して腫瘤となります。



中医学に基づき施術を行う針灸院
石上鍼灸院

〒332-0023
埼玉県川口市飯塚3-7-28
TEL: 048-446-9860
メールアドレス: info@ishigami89.com