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埼玉県川口市の中医学に基づき施術を行う石上鍼灸院ブログ

中医学に基づき施術を行う針灸院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆中医学からみたがんC 四診のうち望診

2023年3月7日(火)

こんにちは、埼玉県川口市の中医学に基づき施術を行っている石上鍼灸院です。


急に暖かくなってきましたね。
花粉は大変ですが、鍼灸院の前にある安行桜はもうすぐ満開になりそうです。
桜


では、「中医学からみたがん」の第4弾です。
望診・聞診・問診・切診の4つの診察方法(四診)のうち、望診についてです。


望診は患者さんの表情・外見・舌・排泄物・腫瘤の状態などを観察することです。


・体表のしこりと潰瘍の望診

体表にあるがんでは、しこりの様子が診ることができます。
感染症のしこりは、通常、皮膚の充血・周囲組織の腫脹・局所の皮膚温度の上昇・痛み(紅・腫・熱・痛)などの特徴があります。
それらは陽証の熱毒証の場合が多いです。

がんの初期のしこりでは、普通皮膚の充血はなく、皮膚の温度も変わらず、痛みもないケースが多いですが、これは痰とお血がある陰証が多くみられます。

がん細胞が周囲組織に浸潤すると、潰瘍周囲の組織が膨隆し、火山噴火口様の形となります。
肉芽の色も蒼白あるいは紫暗で、長期間にわたり潰瘍創面は回復しません。
気血不足証とお血証が多いです。


・望神

「神」とは人の精神状態・目つき・顔色・表情・言語・呼吸の状態・体の状態を指します。
最も重要なのは眼神、いわゆる目つきです。
初期のがん患者さんと末期のがん患者さんでは、精神状態に大きな違いがあります。

初期の場合は正気がそれほど虧損されておらず、眼光に精彩があり、顔色にも艶があります。
意識は清明で、反応は機敏、言語は有力、呼吸は穏やかで、行動が自由にできる。
そのような状態を「有神」といいます。
初期のがんと診断されたときには、まだ気血の消耗による症状はみられないことが多いです。

末期になると、昏睡・意識混濁・無表情・目つきが鈍い・顔色が暗い・呼吸異常・反応が鈍い・動作が不自由・筋肉萎縮などの症状がみられ、精気大損・神気衰弱のいわゆる「失神」の状態となります。


・望顔色

[白色]
気血不足・寒証。
虚弱となったがん患者さんや、激しい疼痛があるがん患者さんにみられます。

[黄色]
濃い黄色は黄疸で、肝臓がん・すい臓がん・胆道がんなどによくみられます。
鮮やかな黄色は湿熱による陽黄で、暗い黄色は寒湿による陰黄です。
淡くて、艶のない黄色は脾気不足です。

[青色]
寒証・お血証。
疼痛がある場合にみられます。

[赤色]
熱証。
顔全体が赤くなるのは実熱証で、がん患者さんの気分熱証や熱毒証にみられます。
頬骨のあたりが赤くなり、ほてりを伴うのは慢性の腫瘍熱で、陰虚内熱証です。

[黒色]
腎虚・陰寒水盛などの末期がんにみられます。
淡い黒色は腎陽虚、黒くて枯れた顔色は腎陰虚、青黒い顔色で痛みを伴うものは陰寒凝滞です。


・望姿勢

高熱を伴う四肢けいれん・項背強直・角弓反張は、がんの熱毒証の熱極生風です。
突然、顔面麻痺・舌の運動障害でしゃべれない・半身不随・頭痛・嘔吐などの症状がみられるのは、脳腫瘍あるいは転移性脳腫瘍の肝風内動証です。


・小便と大便の望診

[尿血]
泌尿器系がんの症状。
濃い色は熱証、紫暗で塊があるときはお血証、淡い色は脾虚固摂不能です。

[便血]
大腸がんの可能性があります。
タール便の場合には、胃がんによる胃出血の可能性があります。


舌診は次回で。



中医学に基づき施術を行う針灸院
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