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埼玉県川口市の中医学に基づき施術を行う石上鍼灸院ブログ

中医学に基づき施術を行う針灸院

中医学は数千年前から臨床現場の経験を積み重ねて理論体系化されている医学です

◆中医学からみたがんD 舌診

2023年4月5日(水)

こんにちは、埼玉県川口市の中医学に基づき施術を行っている石上鍼灸院です。


中医学からみたがんの第5弾です。
前回の望診の続きで、舌診についてお話します。
参考文献は、「臨床家のための中医腫瘍学」です。
がん患者さんの舌を多くみることは難しいので、参考文献の記述を引用させていただいています。


◆舌色

・紅舌
熱証。
黄色い苔があるのは実熱証で、苔が少ないものは陰虚証です。
舌面が滑らかで苔が全くないものは、津液を激しく耗傷した状態で、放射線治療を受けた後によくみられます。

・青紫舌
青紫色は気血お滞の印です。
肺がん・食道がんなどによくみられます。
青紫色で暗いものはお血蓄積で、肝細胞がんによくみられます。

・淡白舌
淡白舌は淡紅舌(正常舌)より色が淡く、血色が少ない舌色を指します。
陽虚・気血虚弱。
白血病や末期がんによくみられます。


◆舌体

・胖大舌
舌体が胖大で色が淡いものは脾腎気虚で、がん手術後あるいは抗がん剤治療時にみられます。
胖大で色が深紅なものは心脾積熱で、腫瘍熱がある場合にみられます。
胖大で色が暗いものは寒毒であり、強い抗がん剤使用後などにみられます。

・痩薄舌
舌が痩せていると、体も痩せていることが多いです。
がんの進行により、気血陰陽が消耗して起きます。
痩薄で色が淡いものは気血不足。
痩薄で色が紅絳、乾燥しているものは熱盛津傷で、慢性の腫瘍熱がある場合にみられます。

・裂紋舌
舌色紅絳で裂紋があるものは熱盛津傷で、放射線治療中によくみられます。
舌色が淡く裂紋があるものは血虚で、抗がん剤や放射線治療による貧血の患者さんにみられます。


◆舌苔

・白苔
白膩苔は痰湿証と食積証にみられます。
脾胃虚弱・運化失調のがん患者さんに多くみれらます。

・黄苔
黄苔は熱証を表しています。
淡黄色・黄色・深黄色・焦黄色などがあり、黄色が濃ければ濃いほど熱が盛んとなります。
黄色で乾燥しているものは胃熱津傷で、黄膩苔は湿熱内蘊です。
がん患者さんが感染症を合併している場合に、よく黄苔がみられます。

・灰黒苔
灰黒で潤いがあるものは陰寒内盛証で、乾燥しているものは熱極津枯証です。末期がん患者さんによくみられます。

・花剥苔
花剥苔は舌苔の一部あるいは全部が剥がれているものです。
剥落したところとそうでないところとの間には、はっきりした境界がみられます。
一部剥落したものは地図状舌、全部剥落したものは鏡面舌ともいいます。
舌色紅絳の鏡面舌は正気大傷・陰虚火旺を示し、胃がん患者さんあるいは放射線治療中のがん患者さんにみられます。
舌色淡白の鏡面舌は、末期がん患者さんで脾胃の気が大いに損傷された病証にみられます。



中医学に基づき施術を行う針灸院
石上鍼灸院

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メールアドレス: info@ishigami89.com