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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)専門はり灸治療院。石上鍼灸院です。

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裏急後重(しぶり腹)

中医学では排便前に腹痛があって便意急迫するものを「裏急」、排便時に切迫し重墜して出にくいものを「後重」といい、両者が同時に生じるものを「裏急後重」と称します。西洋医学では「しぶり腹(テネスムス)」といいます。

現代医学からみた「しぶり腹」

しぶり腹(テネスムス)について

 便意をもよおすのに排便がない、または便意はあっても少量しか出ないのに頻回に便意をもよおす状態を、しぶり腹(テネスムス)といいます。
 大腸の主な機能は、水分・電解質の吸収と排便にあります。水分の吸収は上行結腸・横行結腸で多くがなされ、その結果、下行結腸・S状結腸ではかたまりとしての便が形成されていきます。ほどよくかたくなった便塊がS状結腸下部から直腸に侵入すると、腸の内圧が高くなり、それと同時に排便反射が生じ、便意をもよおして排便となります。したがって、排便反射は直腸の刺激により制御されているといえます。
 しぶり腹とは便塊の刺激によらない直腸-排便反射が生じることで、そのため便が出ないのに便意をもよおします。しぶり腹が起こる原因としては、直腸の炎症が考えられます。直腸に炎症を起こす病気はいろいろありますが、細菌性赤痢、潰瘍性大腸炎などが代表的です。

しぶり腹を起こす代表的な疾患

  • 細菌性赤痢
 細菌性赤痢は、赤痢菌により引き起こされ、血便を生じる急性の下痢症です。国外感染例が60~70%程度におよび、アジア地域が主要な感染地域となっています。

【症状】 典型的な赤痢では、1~3日の潜伏期のあと、全身の倦怠感、悪寒を伴う高熱、水様便が現れます。1~2日間発熱があり、腹痛、しぶり腹、膿粘血便がみられます。

  • 潰瘍性大腸炎
 大腸粘膜が炎症を起こしてただれ、びらんや潰瘍ができる大腸の疾患です。20~30代の若年成人に多く発症しますが、50~60代の人にもみられます。米国の患者数に比べると10分の1ですが、近年日本でも急速に患者数が増えています。
 原因としては、大腸粘膜に対する異常な免疫反応が原因とされていますが、遺伝的素因や食生活、腸内細菌叢の変化などが複雑に絡み合っていて、すべてが明らかになっているわけではありません。肉体的・精神的ストレスで悪化することがありますが、原因というよりも誘因と考えられています。

【症状】 血便、粘血便、下痢、腹痛が主の症状です。ひどくなると体重減少や貧血、発熱がみられます。治療によって改善しても数ヶ月から数年後に再び悪化し、それを繰り返す場合や、症状がだらだらとずっと続く場合などがみられます。

中医学からみた「しぶり腹」

 腹痛、裏急後重、赤白の膿血を下痢する病証を中医学では『痢疾』といいます。しぶり腹は『痢疾』の一症状ととらえることもできます。そのため『痢疾』についてまず説明します。

『痢疾』の分類

  • 湿熱痢
 湿熱の外邪が侵襲し、腸腑の伝導機能が障害されたために生じます。

【症状】 下痢に赤白の膿血が混じる、肛門の灼熱感、しぶり腹、腹痛で押さえられるのを嫌がる、尿少で色が濃い

【舌診・脈診】 舌質紅、黄膩苔、脈滑数
【治法】清熱化湿、調気行血

  • 疫毒痢
 疫毒の邪が侵襲し、熱毒が盛んで腸胃に閉じこもるために生じます。

【症状】 発病が急激、鮮やかな紫血を下す、高熱、便が生臭い、激しい腹痛、しぶり腹は湿熱痢より重い

【舌診・脈診】 舌質紅絳、黄燥苔、脈滑数あるいは微細
【治法】 清熱涼血解毒

  • 寒湿痢
 寒湿の邪が腸腑を阻滞し、腑気が不利となり生じます。

【症状】 赤白の膿血が混じる下痢便で、白いものが赤いものより多い、あるいは白いゼリー状のものが混じる、腹痛、しぶり腹、胃脘脹悶

【舌診・脈診】 舌苔白膩、脈濡緩
【治法】温化寒湿、通腸止痢

  • 陰虚痢
 下痢が長引いて陰が消耗され、湿熱が残留されるために生じます。

【症状】 下痢が遷延し、少量で粘っこいゼリー状の膿血便、腹痛、しぶり腹、口渇、午後のほてり、痩せ

【舌診・脈診】 舌質紅絳、舌苔少、脈細数
【治法】養陰清腸

  • 虚寒痢
 脾腎の陽気不足によって気の固摂作用が失調するために生じます。

【症状】 下痢を繰り返す、大便が稀薄で白いゼリー状粘液あるいは紫暗の血便を伴う、はなはだしい場合は下痢がとまらない、腹部がヒリヒリと痛む、腹部を温めたがる、摂食量が少ない、精神不振、四肢の冷え、腰がだるい、寒がる

【舌診・脈診】 舌質淡、舌苔白、脈細弱
【治法】 温補脾腎、収渋固脱

  • 休息痢
 脾陽虚弱とともに、邪が腸腑に滞留するために生じます。

【症状】 下痢が不定期に起こる、不適切な飲食や冷えた後や疲れた後に大便の回数が増える、飲食量が減少、倦怠感、寒がる、大便に粘液まるいは赤色のものが混じる

【舌診・脈診】 舌質淡、舌苔薄白、脈沈濡緩あるいは細弦
【治法】健脾益気 or 温補脾腎 or 抑肝扶脾、発作期は湿熱痢や寒湿痢に即して治療

弁証施治

【湿熱と気滞が同時に生じ、相互に影響しあいます】
 湿熱の邪が腸管に停滞して気滞が生じると裏急・腹痛が起こり、熱邪が大腸に入り気滞をひきおこすと便を排出しようとしても出ず肛門の重墜感が生じます。もしくは、気滞のために水湿が運化されずに停滞し、鬱して化熱して大腸を障害するので腹痛・後重が生じます。
 以上のように、湿熱と気滞は同時に存在しますが、いずれかに偏重するのが一般的です。

  • 湿熱
【主症状】腹痛、便意促迫、排便時の急迫感、肛門の重墜感と灼熱感、膿血性下痢

【随伴症状】発熱、口渇、上腹部がつかえて苦しい、尿は少なく濃い

【舌診・脈診】舌苔は黄膩、脈は滑数
【治法】清熱利湿
【良い食材】小麦、そば、白菜、大根、きゅうり、もやし、豆腐、こんにゃくなど
【鍼灸治療代表配穴】曲池、天枢、上巨虚、気海、足三里、陰陵泉など

  • 気滞
【主症状】腹が脹って痛んだり遊走性の腹痛、甚だしければ胸肋に放散、痛むと排便したくなり排便後には痛みが軽減する、便がすっきり出ない、肛門部の重墜感、膿血便

【舌診・脈診】舌質淡紅、舌苔薄白、脈は弦など
【治法】理気行滞
【良い食材】そば、大根、かぶ、らっきょう、みかん、なた豆、えんどう豆、ジャスミンなど
【鍼灸治療代表配穴】天枢、上巨虚、気海、内関、膻中、期門など

【気虚と傷陰のしぶり腹は虚証で、長期間下痢が続いた場合に生じます】
  • 気虚
 慢性の下痢によって、脾の運化が衰弱して気血の生化が障害され、気虚下陥となったために生じます。

【主症状】腹部の持続性鈍痛、急に排便したくなる、便がすっきり出ない、肛門の下墜感、甚だしければ脱肛

【随伴症状】疲労倦怠感、息切れ、ものをいうのがおっくう、動悸、自汗、粘血性の下痢

【舌診・脈診】舌質は淡胖、脈は細緩
【治法】補中益気
【良い食材】米、山いも、じゃがいも、かぼちゃ、キャベツ、いんげん、栗、蜂蜜、鶏肉、牛肉など
【鍼灸治療代表配穴】百会、脾兪、気海、関元、足三里、神闕、天枢など

  • 傷陰
 慢性の下痢で陰液・営血が損傷して生じます。

【主症状】持続性の腹部鈍痛、便意急迫、粘稠なゼリー状の便、怒責するが出ない、肛門の下墜感

【随伴症状】口や口唇の乾燥、焦燥感、午後の潮熱あるいは夜間の熱感、るい痩、疲労感

【舌診・脈診】舌質は紅、舌苔は少か剥苔、脈は細数など
【治法】滋陰養血
【良い食材】小松菜、にんじん、アスパラガス、白きくらげ、ぶどう、いちご、黒ごま、松の実、卵、鴨肉、豚肉、アワビ、カキ、ホタテ貝など
【鍼灸治療代表配穴】膈兪、気海、足三里、血海、三陰交、復溜、神闕、天枢など
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