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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

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関節リウマチ(RA)

 数ある膠原病のうち最も疾患頻度が高いのが関節リウマチ(RA)です。関節リウマチは主に2平面関節の滑膜に炎症をきたし、関節の破壊・変形へと進行する疾患として特徴づけられています。
 ただし、実際の症状には個人差が大きく、様々な症状がみられます。中医学は1つの疾患でも、同じ治療を行うとは限りません。患者さんの『証』を診たて、その『証』に適した治療を行いますので、様々な症状に対応が可能となります。つまり、「RAだからこのツボを使う」とはならず、「RAの
この患者さんにはこのツボを使う」というようなその方の体質等を考慮した治療になります。(同病異治)

西洋医学からみた「関節リウマチ」

関節リウマチとは?

 関節リウマチは、自己の免疫が主に手足の関節の滑膜(関節をおおっている関節包の内側のこと)を侵し、これにより関節痛・関節の変形が生じる代表的な膠原病の一つで、炎症性自己免疫疾患です。
 人口の0.4%~0.5%、30歳以上の1%に当たる人が罹患するといわれています。どの年齢の方にも起こりますが、30歳代~50歳代で発病する方が多く認められます。また、男性より女性に3倍も多く認められます。

 【米国リウマチ学会(ACR)の分類基準(1987年)】
以下の7項目のうち、4項目以上にあてはまる場合、関節リウマチと判断されます。
 1、朝のこわばりが、少なくとも1時間以上続く
 2、3か所以上の関節に、炎症による腫れがある
 3、手の指の第2関節(PIP)または第3関節(MCP)、手首の関節に炎症による腫れがある
 4、左右対称の関節に、炎症による腫れがある
 5、肘や膝などに皮下結節(リウマトイド結節)がみられる
 6、血液検査で、リウマトイド因子が陽性
 7、X線検査で、手の関節に異常がみられる(骨びらんなど)
※1~4の4項目は、6週間以上持続していること
※リウマトイド結節:肘の外側や後頭部、臀部など圧力がかかる部位の皮下にできる、米粒大からソラマメ大の大きさの硬軟さまざまな腫瘤状のしこり。
※リウマトイド因子:関節リウマチや他の自己免疫疾患、慢性肝炎などでもみられる自己抗体の一つ。関節リウマチで最も陽性になりやすい

 近年では、早期治療の有効性が指摘されているため、ごく早期に診断し治療を行うようになってきています。

 【関節リウマチの早期診断基準】
以下の6項目のうち、4項目以上あてはまる場合、早期関節リウマチと判断
 1、朝のこわばり 15分以上
2、3つ以上の関節域の腫脹 
3、 手関節またはPIPまたはMCPまたは足関節または足の指の付け根(MTP)の腫脹
 4、対称性腫脹
5、リウマトイド因子が陽性 
6、 X線検査で、手や足に異常がみられること
※1~4の4項目は。1週間以上持続していること
【上記で診断に至らない場合】

①多関節炎
②抗CCP抗体陽性、炎症反応陽性、MMP-3陽性のいずれか
③関節の画像診断
以上の3項目が陽性なら関節リウマチと判断

関節リウマチの症状

  • 関節症状
・関節の腫れ、痛み
 自発痛(安静にしていても痛む)、圧痛(押すと痛む)、運動痛(動かすと痛む)などがあります。また、関節が腫れたり、熱をもったり、赤くなることもあります。手の指の第2関節(PIP)、第3関節(MCP)、手首の関節(手関節)に起こることが多く、左右の同じ関節にみられるのが特徴です。

・朝のこわばり
 朝、布団から出るときに、手足や体が動きにくくなることは、関節リウマチの特徴の一つです。5~10分程度のこわばりは他の疾患でもみられますが、1時間以上続く場合はリウマチ性疾患の可能性が高くなります。

・変形
 炎症が続くと、関節付近の軟骨や骨が壊れて変形し、動かせる範囲が狭くなってきます。4本の指が小指のほうに曲がる変形は関節リウマチに特徴的です(尺側偏位)。さらに進行して関節の骨同士がくっつくと関節が動かなくなります。

  • 関節以外の症状
 関節リウマチでは、関節の症状以外に、さまざまな症状が現れることがあります。

・皮下結節(リウマトイド結節)
 肘や膝の関節の外側、アキレス腱、後頭部など、皮膚の下に骨があり、外部から圧迫されやすい部分に、痛みも痒みもないこぶのようなしこりができることがあります。

・だるさ、疲労感などの全身症状
 全身にだるさや疲労感が出ることがあります。微熱が出たり、食欲がなくなり、体重が減ることもあります。

・貧血
 貧血になることがあります。

・肺の炎症
 肺に炎症が起こり、息切れや呼吸困難を起こすことがあります。気管支や胸膜にも炎症が起こることがあります。

・目の炎症(上強膜炎、強膜炎)
 白目の部分である強膜に炎症が起こり、毛細血管が広がって充血することがあります。浅い部分に起こる炎症を上強膜炎、深い部分に起こる炎症を強膜炎といいます。

・血管の炎症(リウマトイド血管炎)
 血管の炎症によって、酸素や栄養が十分に行きわたらなくなり、発熱や心筋炎、胸膜炎、皮膚の潰瘍など、全身にさまざまな障害が現れることがあります。

中医学からみた「関節リウマチ」

 中医学では『痺証』として理解されています。病因病機としては、もともと正気が弱くそう理(皮膚・筋肉・臓腑をおおっている膜状の組織)が不密で、肝腎の虚があるために風寒湿熱の邪が侵襲した際に、経絡・筋骨・関節にまで入り込み気血の運行が阻害されることで発症し、なおかつ邪による気血の運行の阻害が痰濁とお血を筋骨関節に発生・停滞させることで病態の悪化につながっているとしています。分かりづらいので、少しずつ説明します。

痺証とは?

 痺には、つまって通じないという意味があります。痺証は病邪によって経絡、気血がつまって起こる疾病です。正気が不足して抵抗力が低下している状況下で、風・寒・湿や湿熱の邪が肌表経絡(エネルギーの通り道)を侵襲することによって引き起こされることが多く、通常は気候の変化と密接な関係があります。経絡閉阻、気血運行の障害が主な原因です。

【主な症状】
筋骨・関節部に痛み、だるさ、重だるさ、しびれが現れたり、関節部の腫脹、発熱、屈伸困難など

【西洋医学の関連疾患】
関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、痛風、椎間板疾患など

※中医学では、症状から治療を行うので、同様の症状がある疾患は、違う疾患でも同じような治療を行うことがあります。(異病同治)

関節リウマチに対する弁証施治

  • 風寒湿痺 【着痺(湿痺)】
 湿度の高い環境や寒冷な環境などにより、風邪・寒邪・湿邪の3つの外邪が合わさって人体に侵襲し、経絡・関節・筋肉に付着することで、気血を痺阻し、症状があらわれます。3つの外邪のうち湿邪がより強く人体に影響を与えたものが着痺です。

【症状】 肢体関節が重く痛む、痛みの部位は固定、関節が腫脹、運動障害、皮膚の感覚が鈍麻でしびれる、症状は雨天時に増悪する

【舌診・脈診】 舌苔は白膩、脈濡緩
【治法】 除湿通絡、通絡止痛、去風散寒
【鍼灸治療代表配穴】 患部治療穴、陰陵泉、足三里、脾兪、関元、曲池など

  • 風寒湿痺 【痛痺(寒痺)】
 病因病機は上の着痺と同じですが、風邪・寒邪・湿邪のうち寒邪がより強く人体に影響を与えたものが痛痺です。

【症状】 肢体関節の固定した激痛、温めると痛みは軽減される、冷やすと痛みが激しくなる、皮膚の色は赤くない、触れても熱感がない

【舌診・脈診】 舌苔は薄白、脈弦緊
【治法】 温経散寒、通絡止痛、去風除湿
【鍼灸治療代表配穴】 患部治療穴、関元、命門、腎兪、陰陵泉、曲池など

  • 風寒湿痺 【行痺(風痺)】
 病因病機は上の二つと同じですが、風邪・寒邪・湿邪のうち風邪がより強く人体に影響を与えたものが行痺です。

【症状】 肢体関節がだるくて痛む、痛む部位が一定しない、関節の屈伸が不便、発症時に悪風または悪寒・発熱を伴うこともあります。

【舌診・脈診】 舌苔は薄白、脈浮
【治法】 去風通絡、通絡止痛、散寒除湿
【鍼灸治療代表配穴】 患部治療穴、曲池、風門、三陰交、膈兪、陰陵泉など

風寒湿痺タイプの関節リウマチに向き不向きの食材 
 食べると良いもの  向かないもの
 はとむぎ、とうふ、梨、豚の骨、牛骨のスープ、羊骨のスープ、鶏肉、スッポン、くるみ、ごま、なつめ、くろまめ、米、豚の赤身  とうがらし、シナモン、しょうが、牛乳、トマト、メロン、カレー、からし、こしょう                   
メディカルユーコン 東方栄養新書より

  • 風湿熱痺
 風寒湿邪が長期間身体に居続けることで化熱したり、風湿熱邪が侵襲するなどの原因で、風湿熱邪が経脈を壅滞して気血を閉阻することで発症します。

【症状】 急に発病する、関節に発赤・腫脹・発熱・疼痛が起こる、冷やすと痛みは軽減する、痛みは遊走性を呈する場合もある、さらに煩躁(胸の部分がほてっていらだつこと)・胃のつかえ・食欲不振・尿黄・便秘または泥状便・口渇あるいは口渇するが飲みたがらないといった症状を伴うことがあります

【舌診・脈診】 舌苔黄燥または黄膩、脈は濡数または滑数
【治法】清熱利湿、去風通絡
【鍼灸治療代表配穴】 患部治療穴、曲池、陰陵泉、合谷、大椎など

  • 痰瘀痺阻
 津血(身体を潤す力と臓腑に栄養を与える力)の運行不暢により、痰・瘀血を生じ、痰瘀が互いに結びつき関節に留滞して、経絡を閉阻することで生じます。

【症状】 発病経過が長い、関節部の浮腫・疼痛、冷えると増悪する、あるいは関節部の腫大・硬直・奇形がみられる、発熱を伴う場合がある、顔色が黒い・唇が紫色

【舌診・脈診】 舌質は紫、舌苔薄白または白膩、脈沈渋または細渋
【治法】 化痰去瘀、活血通絡
【鍼灸治療代表配穴】 患部治療穴、豊隆、三陰交、膈兪、肺兪など

  • 気血両虚
 もともとの虚弱体質・飲食不節制・ストレス・肉体疲労などにより、気血(身体の活動エネルギーと臓腑に栄養を与える力)がともに虚したために、経脈を濡養し温煦できないために生じます。

【症状】 関節のだるい痛みが疲労により増強する、筋肉がやせる、顔色が蒼白、口唇や爪が淡白でつやがない、息切れ、ものを言うのがおっくう、めまい感、汗がでやすい

【舌診・脈診】 舌質は淡、脈細弱
【治法】 補益気血、去邪通絡
【鍼灸治療代表配穴】 患部治療穴、合谷、三陰交、気海、足三里、脾兪、腎兪など

  • 肝腎両虚
 肝は筋を主り、腎は骨を主る。ストレスや肉体疲労などにより肝腎がともに虚して筋骨が栄養されず、邪気が残留することで生じます。

【症状】 関節疼痛が長期化する、筋肉が萎縮する、関節の屈伸不利、体が痩せる、腰膝がだるく力が入らない、頭のふらつき、ほてりあるいは冷えを伴うこともある

【舌診・脈診】 舌質淡、舌苔薄白あるいは少津、脈細、特に尺脈が弱
【治法】 滋補肝腎、去邪通絡
【鍼灸治療代表配穴】 患部治療穴、腎兪、太谿、肝兪、太衝、三陰交など

  • 尫痺(おうひ)【腎虚寒盛型】
 身体を温める力が弱い体質であったり、慢性病、性生活の不節制などにより、腎気(腎陽)が虚すことで温煦作用が弱まり、寒邪が旺盛となり経脈気血を痺阻することで生じます。

【症状】 四肢関節部の疼痛・腫脹・硬直・変形、早朝時の局所関節部のこわばり、筋肉のけいれん、腰膝のだるさ・痛み、両足の無力感、易疲労、温めると症状は楽になるが冷やすと増悪する

【舌診・脈診】 舌苔は薄白、脈は沈弦、沈滑または沈細弦、尺脈は弱
【治法】 補腎去寒、去邪通絡
【鍼灸治療代表配穴】 患部治療穴、太谿、腎兪、関元など

予防とケア

① 防寒・防湿に気をつける
② 発症初期から積極的に治療する
③ 適当なリハビリを行う(リハビリ体操.pdf)
④ 関節の炎症を鎮める食品を摂る
 関節痛の緩和には青背魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)や、シソ・エゴマ油に豊富に含まれるαリノレン酸が効果的です。ブルーベリーやレモンに多いビタミンCは、痛みを抑える副腎皮質ホルモンの分泌を促します。ウナギやタラコなどに含まれるビタミンE、あるいは小松菜やにんじんなどに多いカロチンは抗酸化作用があり血流を高めます。また、マグロやサンマに多いビタミンB6や、乳酸菌は免疫機能を修正する働きがあるため、積極的に摂るようにしてください。

埼玉県川口市の中医学専門はり灸治療院
【石上鍼灸院】

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