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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)に基づく施術を行っている鍼灸院です。

〒332-0023 埼玉県川口市飯塚3-7-28TEL:048-446-9860

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夜間頻尿

夜尿夜間頻尿(夜間多尿)は夜間に尿の回数と量が増えることを指します。一般に、夜間の排尿回数が2〜3回以上、あるいは夜間の尿量が1日の1/4を越えるものを言います。日中の排尿は正常で、夜間に回数と量が増えるのが特徴です。

現代医学からみた「夜間頻尿」

排尿の仕組み

排尿

 尿をつくり、蓄え、排泄する働きをになう器官を総称して「泌尿器」と呼びます。泌尿器には、体内をめぐった血液をろ過し、尿をつくる腎臓、つくられた尿を膀胱へ送る尿管、尿を蓄えておく膀胱、膀胱にたまった尿を外に出す尿道があり、それぞれがうまく働きあって、排尿のシステムを機能させています。
 このシステムが正常に働いている時、私たちは特に意識することなく、膀胱に尿を数時間蓄え、ある程度たまるとその尿を残らず外へ出していますが、これは、膀胱の筋肉と尿道の筋肉の「緩む」と「締まる」の働きが、自律神経の働きで絶妙にコントロールされているからなのです。自律神経には、緊張しているときに働く交感神経と、リラックスしているときに働く副交感神経があります。膀胱に尿がたまっているときは、主に交感神経が働き、膀胱の筋肉は緩んで尿を蓄え、反対に尿道の筋肉は締まって尿が漏れるのを防ぎます。尿が150mlほどたまると、膀胱から脊髄の神経を通して「たまったよ」という信号が脳に送られ、「尿意」を感じますが、限界というところにくるまでは、大脳が「まだ出してはだめ」という信号を膀胱に送るため、私たちは排尿を我慢することができます。そして、トイレへ行き尿を出そうと思うと、脳が「出してよい」という信号を送ります。ここで副交感神経が主に働き、尿道の筋肉が緩み、反対に膀胱の筋肉は締まって尿を押し出し、尿が排泄されるのです。健康な成人では、1回の排尿量は300mlほどで、約30秒で膀胱が空っぽになるのが普通です。


夜間頻尿の原因

 原因は大きく3つあります。夜の尿量が増える「夜間多尿」、眠りが浅くなって目が覚めてしまう「睡眠障害」、膀胱の活動が過敏になってしまう「過活動膀胱」です。いずれも高齢になると起こりやすく、複数の原因を有している方も多く見受けられます。

  • 夜間多尿
@ホルモンバランス
 就寝すると脳から尿量を減らす指令を出すホルモン(抗利尿ホルモン)が分泌されるため、腎臓はあまり尿を作らなくなります。その抗利尿ホルモンの分泌量が加齢に伴い減少するため、腎臓は夜でも昼と同じように尿を作ってしまいます。

A足のむくみ
 体内の水分は重く、重力もあり、日中は足に貯まりやすくなります。そうならないように本来はリンパ管が水分をくみ上げてくれるのですが、加齢によってリンパ管の機能が低下すると、夕方になると足がむくみやすくなります。その状態で、就寝時に横になると、むくみとして足に貯まった水分が血管内に流れ込み、その余分な水分を排泄しようと尿がつくられます。

B水分の過剰摂取

  • 睡眠障害
 夜になると脳から眠気を催すホルモン(メラトニン)が分泌されます。このメラトニンの分泌量が加齢とともに減少するため、眠りが浅くなってしまいます。このため、トイレに行きたいから起きるのか、起きてしまうからトイレに行くのか、分からない方が多く見受けられます。

  • 過活動膀胱
 膀胱には、腎臓で集められた水分と体内の老廃物を尿として保持する機能があり、膀胱が一定の大きさに達すると、尿意を脳に伝えて排尿を行う働きがあります。過活動膀胱では、膀胱が大きさに関係なく尿意を発生しやすく、頻尿が起こります。
 過活動膀胱の原因は排尿筋が過剰に活動することで、神経因性のものと非神経因性のものに大別されます。神経因性とは、神経に障害があるときにみられ、神経因性膀胱の一種ともいえます。非神経因性とは、前立腺肥大症などの下部尿路通過障害や加齢変化、骨盤底筋障害などで生じます。

【症状】
・尿意切迫感 … 急に排尿したくなり、これ以上我慢するともらしてしまいそうになる
・頻尿 … 1日8回以上排尿すること
・夜間頻尿 … 睡眠中に2回以上排尿に起きること
・切迫性尿失禁 … 排尿したくなってすぐに我慢できずに失禁してしまうこと

中医学からみた「夜間頻尿」

津液の代謝

 人体内のすべての水液を津液といいます。「津」はサラサラしていて薄く、比較的流動性が大きく、主に体表の皮膚・肌肉・孔竅に分布し、また血脈内に滲入して、これらを滋潤します。「液」は粘稠で濃く、比較的流動性が小さいという性質をもち、主に脳・髄・骨関節・臓腑などの組織に注ぎ込んでこれらを濡養します。
 津液の生成・輸布・排泄には、胃による受納と消化、脾気による転運・輸布、肺気による宣発と粛降、三焦による水動の通調、膀胱と腎による蒸化と排泄などの一連の気化作用が関与しています。これらの作用によって津液は化生して全身に布散し、五臓六腑・四肢および全身の各関節を滋養します。また人体内で代謝を経て栄養物質を吸収された後の廃液は、汗や尿液に変化して体外に排出されます。

図にすると下のような感じです。
津液の代謝

 排泄には特に『腎』『膀胱』の働きが重要になります。

腎、膀胱の働き

【腎は水を司る】
 腎は、肺の粛降作用によって膀胱に運び込まれた不要な水液を尿といて排泄させ、同時に水液の一部を再び肺にもどす働きをしています。また腎は、脾の運化、肺の宣発・粛降そのものを助けています。

【腎は膀胱に合す】
 腎と膀胱が相互に連絡し影響しあっていることをいいます。腎と膀胱は経脈を通じて互いに連絡し、表裏の関係を構成している。膀胱の蓄尿と排尿の機能は腎の気化作用に依存しているため、腎気が充足し腎の気化機能が正常であれば、膀胱の開闔作用は規則的になり、水液代謝は正常に保たれます。

【腎気不固】
 人体が健康状態にあれば、腎気は精液および二便(大小便)を固摂する作用をもっていますが、腎気が虚衰すると精液および二便を固摂することができなくなります。

【腎陽とは?】
 腎陽は腎陰と相対する意味で用いられる言葉です。腎陽は生体の各臓腑・組織器官を推動し温煦する作用を有しています。腎陽は腎中の精気を基礎物質としています。腎陽は腎中の精気の機能を表し、生体各臓の陽気の根本です。

【膀胱は尿を蓄える】
 膀胱は一定量の尿をためたり、排泄したりします。膀胱のこの働きは腎により管理されていて、これを腎の開闔作用と呼びます。

弁証施治

  • 腎陽虚
 もともと陽虚の体質(温める力が弱い)、高齢や慢性病による衰弱などで、腎陽が虚して封蔵ができなくなり、膀胱が水液を制約できず、陰盛陽虚の夜間に尿が頻数で量が多くなります。

【症状】夜間の頻尿と尿量増加、排尿後の余瀝、甚だしければ尿失禁あるいは遺尿

【随伴症状】耳鳴り、聴力低下、腰背部がだるい、滑精、早漏

【舌診・脈診】舌質は淡胖、舌苔は薄白、脈沈細あるいは弱
【治法】温補腎陽
【良い食材】くるみ、羊肉、鹿肉、エビ、ナマコ、イワナ、にら、らっきょう、胡椒、唐辛子など
【鍼灸治療代表配穴】腎兪、命門、気海、関元、膀胱兪、中極、三陰交など


  • 脾腎陽虚
 腎陽虚の命門火衰で脾陽を温煦できないか、脾陽虚のために腎陽を補うことができず、脾腎の両臓が虚して温摂が不足し、陰盛陽衰の夜間に尿量と回数が増加します。

【症状】夜間の頻尿と尿量増加

【随伴症状】寒がる、四肢の冷え、頭のふらつき、耳鳴り、倦怠無力感、元気がない、膝や腰がだるく無力、食欲不振、泥状から水様状の便あるいは不消化便、頻尿

【舌診・脈診】舌質が淡、舌苔が白、脈沈あるいは弱
【治法】温補脾腎、温陽固渋
【良い食材】はと麦、にら、らっきょう、唐辛子、あずき、羊肉、鶏肉、エビ、草魚、マス、アジ、サケ、ナマズなど
【鍼灸治療代表配穴】脾兪、腎兪、命門、気海、関元、足三里、三陰交、膀胱兪、中極など
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