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埼玉県川口市の中医学(中国伝統医学)専門はり灸治療院。石上鍼灸院です。

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不眠

不眠 中医学では各種の睡眠障害を不寐といいます。人の身体は、寝ることで回復したり、成長したりしますが、不眠の症状があると様々な病気を引き起こす可能性があります。中医針灸治療では、不眠の原因を取り除き、良い睡眠をとることで、心身ともに元気な状態にしていきます。

現代医学からみた「不眠」

睡眠の役割

 睡眠が不足すると、いらいらしたり、眠くなったり、元気がなくなったりしてしまい生活の質が損なわれてしまいます。また場合によっては、生命維持にかかわることさえ生じます。睡眠とはこのような状態を生じさせないための機能であると考えられています。
 睡眠がうまくとれないと、大脳の情報処理能力に悪い影響が出ます。睡眠不足の時に感じる不愉快な気分や意欲のなさは、身体ではなくて大脳そのものの機能が低下していて、大脳が休息を要求していることの現れです。
 また、睡眠中は脳下垂体から成長ホルモンが大量に分泌され、子どもの場合は体の成長を促し、大人では疲労回復や損傷した細胞の修復(美肌や筋肥大につながります)を行っています。さらに睡眠は免疫物質の分泌を促進するので、風邪などの予防にもなります。

不眠症の定義

 米国睡眠医学会では下記のように定義されています。
睡眠の開始と持続、一定した睡眠時間帯、あるいは眠りの質に繰り返し障害が認められ、眠る時間や機会が適当であるにもかかわらずこうした障害が繰り返し発生して、その結果何らかの昼間の弊害がもたらされる状態。

【不眠症の一般的基準】
A.入眠困難、睡眠維持困難、早朝覚醒、慢性的に回復感のない、質のよくない睡眠が続くと訴える。
B.眠る機会や環境が適切であるにもかかわらず、上述の睡眠障害が生じる。
C.夜間睡眠の障害が関連して、以下のような日中障害を少なくとも1つ報告する。
 1)疲労または倦怠感
 2)注意力、集中力、記憶力の低下
 3)社会生活上あるいは職業生活上の支障、または学業低下
 4)気分がすぐれなかったり、いらいらする(気分障害または焦燥感)
 5)日中の眠気
 6)やる気、気力、自発性の減退
 7)職場で、または運転中に、過失や事故を起こしやすい
 8)睡眠の損失に相応した緊張、頭痛、または胃腸症状が認められる
 9)睡眠について心配したり悩んだりする

 さらに日本睡眠学会では具体的な時間、期間についても定義しています。
夜間なかなか入眠できず寝つくのに2時間以上かかる入眠障害、一旦寝ついても夜中に目が醒めやすく2回以上目が醒める中間覚醒、朝起きたときにぐっすり眠った感じの得られない熟眠障害、朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう早朝覚醒などの訴えのどれかがあること。そしてこのような不眠の訴えがしばしばみられ(週2回以上)、かつ少なくとも1ヶ月は持続すること。

日本人と不眠症

 不眠症は睡眠障害の中で最も高頻度に認められる病態です。日本人の一般人口を対象として行われた疫学調査によれば、成人の21.4%が不眠を訴えています。さらに、成人の14.9%が日中の眠気に悩み、6.3%が寝酒あるいは睡眠薬を常用していることが明らかにされています。
 平成19年に厚生労働省が行った調査でも、
国民の5人に1人が「睡眠で休養がとれていない」「何らかの不眠がある」と回答しています。不眠症は、小児期や青年期には稀であり、20~30歳代に始まり、中年以降で急激に増加し、40~50歳代でピークを示します。この背景には、人口の高齢化、ライフスタイルの多様性、生活リズムの乱れ、ストレスなどが関連していると考えられています。

不眠症の原因

①身体的原因
 さまざまな身体的疾患や、その症状(痛み、かゆみ、咳、頻尿、発熱)が原因で起こる不眠。
②薬理学的原因
 アルコールやカフェインなどの嗜好品に含まれる成分や、治療のため服用している薬(降圧剤、アレルギー薬、ステロイド薬など)が原因で起こる不眠。
③精神医学的原因
 アルコール依存症、不安、パニック障害、うつ病などが原因で起こる不眠。
④心理学的原因
 ストレス、重篤な疾患、人生の大変化などが原因で起こる不眠。
⑤生理学的原因
 時差ぼけ、交代勤務、短期の入院などが原因で起こる不眠。

中医学からみた「不眠」

「不寐」とは?

 「不得眠」「不得臥」「目不瞑」ともいわれています。日常的に寝つけない、眠りが浅い、目が覚めやすいなどの症状を特徴としています。多くの場合、頭痛、めまい、動悸、イライラ、物忘れ、精神不安などの症状を伴います。
 軽症のものは、入眠困難、目が覚めやすい、目が覚めた後になかなか眠れない、熟睡できないといった状態のものをいいます。重症のものは、一晩中眠れないものをいいます。

【現代医学の関連疾患】
自律神経失調症、更年期障害、脳動脈硬化症など
※「異病同治」…中医学では症状から診断し証を決めるため、違う疾患でも同じ証があらわれれば、同じような治療を行うことをいいます。

各臓腑の不眠にかかわる働き

●心は神明を主る 『心は精神の働きを統括する』
 神とは感情、思考、意識、判断など、すべての精神的な働きをさす言葉です。人の精神の働きは、本来、五臓がそれぞれ分担し、また協力しあうことで成り立っています。たとえば肝には魂があり、理性、判断、意志、思惟を主り、脾には意があり、思考、記憶、集中などを主る。肺には魄があり、本能的な感覚、運動の働きが備わり、腎には志があり、意志、信念の力あるいは記憶力が宿っています。この魂、意、魄、志すべてを総称したものが神です。神は心に宿っている。これを「心は神を主る」といいます。
 したがって心が充実していると、精神状態は非常に穏やかで、情緒が安定し、思考能力も活発な状態になります。

●心は血脈を主る 『心は血を全身に循環させる』
 心(心気)は胸中をめぐる宗気とともに、血を全身のすみずみに行きわたらせ、すべての組織・器官に血の栄養を与えます。
 心気が旺盛であれば心血は正常に運行し、血中の栄養物質を全身に供給するので、精神は充実し、顔色は紅潤で脈拍は速からず遅からず、柔和で有力です。反対に心気が不足すれば血脈は空虚となり、顔色が淡白で光沢がなく、脈は細弱となり、ひどいときには血行が停滞し、顔色が青紫色になるなどの症状があらわれます。

※心血…心が統括する血脈内を流れる血のこと。心血は神志活動における基礎物質の一つ

●脾は運化を主る 『脾は飲食物の消化・吸収の過程を管理する』
 脾には飲食物を精微に変え、その精微物質(栄養成分)を全身に転輸する働きがあります。具体的には、脾は胃が飲食物を消化吸収するのを助け、それによってできた精微物質を脾から心肺に輸送し、さらに心肺の働きによって五臓六腑の各器官組織に送って、全身の組織に栄養を与える働きと、体内の水液と老廃物を運んだり排泄し、人体の水液代謝のバランスを保持する働きがあります。
 気血の生成には水穀の精微が必要になるので、脾は気血生化の源と称されます。

●肝は疏泄を主る 『肝は全身の気を運行させ、精神状態を安定させる』
①気を運行させる
 肝には全身の気を順調にめぐらせる働きがあります。肝にはこの疏泄の働きで、全身の気の運行を調節しています。
②精神状態を安定させる
 肝は常にのびのびとし、気持ちのよい状態を好みます。肝の疏泄が正常ならば、全身の気血のめぐりが順調で、感情が安定し、正しい判断ができます。
③消化を助ける
 肝は気血をスムーズに運行させ、脾の運化作用が順調に営まれるように補助している役目を担っています。

●胆は決断を主る 『胆は肝とともに決断にかかわる』
 胆は決断力、勇気と深くかかわっています。胆の働きが順調ならば、肝と助け合い、物事にたいして正常な判断をくだすことができます。胆のこの働きが衰えると、決断力や勇気をうしなう、決断できない、おびえるなどの症状をあらわします。

弁証施治

  • 陰虚火旺
ストレスによって陰血を消耗してしまったり、肉体疲労や慢性病により腎陰が不足し、心陰を滋養できなくなり、心火が盛んとなり心神が不寧となるために生じます。

【症状】不眠、多夢、胸が熱くてイライラする

【随伴症状】 足腰がだるい、めまい、耳鳴り、物忘れ、動悸、焦燥感、寝汗をかく、口やのどの乾燥感、潮熱(一定の時間になると発熱)、五心煩熱(手のひらや足の裏が熱く、胸がほてってムカムカする症状)など

【舌診・脈診】 舌質紅、舌苔少あるいは無苔、脈細数
【治法】 滋陰降火、交通心腎
【良い食材】 チシャ、ほうれん草、小松菜、アスパラガス、柿、白きくらげ、白ごま、卵、鴨肉、豚肉、スッポン、アワビ、ホタテ貝、カキ、牛乳など
【鍼灸治療代表配穴】 心兪、腎兪、復溜、太谿、神門、三陰交など


  • 心脾両虚
 飲食の不節制・肉体疲労・思慮をめぐらせすぎてしまい脾を損傷し、脾気虚となり気血の生化が不足して心血が補養できなかったり、慢性出血により心血を消耗したりして、心神不安となって発生します。

【症状 】入眠困難、目が覚めやすい、多夢

【随伴症状】食欲不振、顔色につやがない、倦怠感、めまい、動悸、物忘れ、精神不振など

【舌診・脈診】舌質は淡嫩、舌苔薄白、脈細弱
【治法】補益心脾、養血安神
【良い食材】 米、山いも、じゃがいも、かぼちゃ、キャベツ、いんげん、鶏肉、牛肉、にんじん、ほうれん草、小松菜、イカ、タコ、栗、落花生、ぶどう、蜂蜜、ウズラの卵、豚ハツなど
【鍼灸治療代表配穴】 心兪、脾兪、神門、太白、三陰交など

  • 心胆気虚
 突然に驚きや恐れを覚えることで、胆気が損傷し、心神が不寧となって生じます。

【症状】 不眠、多夢、寝ても驚いて目を覚ましやす

【随伴症状】 おどおどして動悸が起こる、驚きやすい、余計な心配をする、汗をかきやすい、動悸、息切れなど

【舌診・脈診】 舌質は淡、脈は弦細
【治法】 益気鎮驚、安神定志
【良い食材】 米、山いも、じゃがいも、キャベツ、いんげん、干ししいたけ、鶏肉、牛肉、にんじん、ほうれん草、小松菜、イカ、タコ、栗、落花生、ぶどう、ライチ、蜂蜜、ローヤルゼリーなど
【鍼灸治療代表配穴】 胆兪、心兪、内関、神門、合谷、四神聡など

  • 肝鬱化火
 悩みや怒りで肝の疏泄が失調し肝うつがつづいて化火し、上部にのぼって心神を乱し生じます。

【症状】 不眠、胸が熱くてイライラする

【随伴症状 】 いらいら、怒りっぽい、憂うつ、口が苦い、目の充血、頭痛、めまい、口が渇く、便秘など

【舌診・脈診】舌質は紅、舌苔黄、脈弦数
【治法】疏肝瀉火、鎮心安神
【良い食材】 あわ、にがうり、白菜、セロリ、きゅうり、トマト、じゅんさい、緑茶、わかめ、カニ、シジミなど
【鍼灸治療代表配穴】 肝兪、胆兪、丘墟、太衝、行間、神門、四神聡など


  • 痰熱内擾
 脾虚あるいは脂っこいものや甘いものの過食やお酒の飲みすぎで湿が生じ濃縮されて痰となるか、熱邪が裏に入って水分を濃縮して痰が生じ、痰熱が心神を乱し生じます。

【症状】 不眠、悪夢が多い、寝ても不安

【随伴症状】 頭が重い、めまい、胸がなえてイライラする、痰が多い、吐き気、ゲップ、口が苦いなど

【舌診・脈診】 舌質は紅、舌苔は黄膩、脈滑数
【治法】 清熱化痰、和中安神
【良い食材】 へちま、たけのこ、黒くわい、梨、のり、昆布、クラゲ、アサリなど
【鍼灸治療代表配穴】 豊隆、中脘、神門、内関、足三里、心兪など

日常生活で注意すること

・特に夕方から夜間にかけての精神的疲労を避ける
・就寝前の入浴はぬるめの風呂にはいる(38~40℃)
・昼間の軽い運動を心がける(ウォーキングなど少し汗ばむ程度のもの)
・コーヒー、お茶などの就寝前の飲用は避ける
・就寝3時間前には食事を終わらせておく
・夜はパソコンなどの強い光は避け、照明も蛍光灯より白熱灯に切り替える

不眠に有効な民間療法

◆ニンニク酒
 ニンニク3個をすりおろし、180mlの日本酒に加えて、10日間漬けておきます。スプーン1杯を1回分とし、1日に数回飲むようにすると、神経の安定に役立ちます。

◆セロリ湯
 セロリ1/2をおろし金ですりおろします。これを湯飲みに入れ、熱湯を注いで寝る前に飲むと安眠できるといわれています。セロリの味が合わない人は、ハチミツを適量入れて調節してみてください。

石上鍼灸院ブログ 「睡眠について①」


石上鍼灸院ブログ 「睡眠について②」


石上鍼灸院ブログ 「睡眠について③」


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